2025/04/15 09:40


神輿の歴史とは? 起源から現在までの流れを解説



神輿は、古くから日本各地で行われてきた祭礼に欠かせない存在として、多くの人々に親しまれてきました。

しかし、「そもそも神輿はいつから始まったのか?」「どのようにして今の形になったのか?」といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

担ぐことに熱中するあまり、その歴史や意味まで深く知る機会が少ないという方もいるかもしれません。


本記事では、神輿の起源から現代に至るまでの流れをわかりやすく解説します。

各時代で神輿が果たしてきた役割や、人々との関わり、そして今に受け継がれる文化としての魅力をじっくり紐解いていきましょう。



神輿の起源とは?日本文化に根ざす誕生の歴史

神輿は、神社の御神体を一時的に移動させるための「輿(こし)」として生まれました。

元来、神様は神社の中に常に鎮座しているものではなく、特定の時期にだけ御神体が外に出る「御霊遷し(みたまうつし)」の考え方に基づき、神輿がその乗り物となったのです。

この神輿の存在は、信仰の対象を身近に感じられる手段として、多くの人々の心を惹きつけてきました。



神輿の語源と意味

「神輿」という言葉は、「神(かみ)」と「輿(こし)」が結びついたもので、「神様が乗る乗り物」を意味します。

古代の日本では、貴族や天皇の乗り物であった「輿」に神霊を宿らせることで、神様を祭礼の場や町中に迎える役割を持たせました。

神輿には、「神様が人々のもとへ降りてくる」という神聖な意味合いが込められており、単なる道具ではなく、信仰と儀礼の中心的存在となっています。

神と人とをつなぐ象徴として、神輿は長きにわたって日本人の信仰を支えてきました。



奈良時代における神輿の初出

歴史上で神輿が初めて文献に登場するのは、奈良時代の天平勝宝元年(749年)です。

この年、奈良の東大寺に大仏を建立するにあたり、八幡神を宇佐神宮(大分県)から迎えるために神輿が用いられたとされています。

これは、神輿を使って神様を遠方から運ぶという儀式の最古の記録であり、以後、神輿は全国へと広まっていきます。

当時の神輿は現在のような華美な装飾はなく、簡素な木製の構造であったと考えられています。

神輿が正式な神事の一部として認識され始めたのは、この奈良時代が出発点です。



御霊信仰と神輿の結びつき

平安時代に入ると、社会に不安が広がる中で「御霊(ごりょう)信仰」が盛んになりました。

これは、怨霊となった貴人や有力者の魂を鎮めるために神として祀る考え方であり、この信仰が神輿の役割をさらに重要なものにします。

御霊を鎮め、災いを防ぐために神輿が町中を巡行する「御霊会(ごりょうえ)」が行われるようになり、神輿は人々の生活や安全を守る神聖な道具として位置づけられていきました。

神輿は、目に見えない神を感じ、地域の平安を願う象徴として定着していきます。


           つづく